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2015年6月5日
海外ユーザー向けサイトの配色で押さえるべき3つのポイント

最近、陸上競技場のトラックの色が赤(レンガ色)から青に塗り変わりつつあるということです。赤は人間を興奮させる色であるのに対して、青はリラックスさせる効果があり、こういった色の違いによって記録の傾向に違いが出るという研究結果もあって、なかなか興味深いです。人の精神状態を左右する色は、記録がかかるスポーツに限らず、ウェブサイトでも各国の文化による解釈を理解した上で配色を決定したいところです。
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なぜ海外ユーザー向けサイトの配色に注意を払うべきなのか?
海外旅行中、滞在先のホテルから交通機関で目的地に移動するまでの間、色を頼りに行動したことはありませんか?その際、自分の想定と反対の色が使用されている場面にとまどったことはありませんか? このようなことは、日常的によくあることですが、ウェブサイトではそれ以上に頻繁に起こっている可能性があります。
色が与えるイメージは多くの場合普遍的なものですが、その解釈は文化により様々です。それは「色」が、各国の文化や歴史を反映した象徴的な意味を含んでいるためです。色の選択次第では、思いがけず不要な情報を伝えてしまったり、意図したメッセージに反する意味を与えてしまうことさえあります。特に海外ユーザー向けサイトでは、テキスト同様に、「色」から伝わる様々なメッセージや意味を理解し、配色を決定する必要があります。
世界の色に対する様々なイメージ
世界の色に対する様々なイメージの違いについては、これまで多くの調査や研究が行われてきました。 ここではその一部を色別にご紹介します。
- 「平和」「穏やかさ」「好きな色」/ オーストラリア、ブラジル、カナダ、コロンビア、香港、台湾、アメリカ、中国*1
- 世界的に「最も多くの人が好む色」/ 世界19か国*2
- 「価値の高さ」*3 / 日本、中国、韓国、アメリカ
- 「愛」/ 日本、中国、韓国、アメリカ*3
- 「愛」「情熱」「警告」「安全性」/ 北アメリカ*4
- 「力」「強さ」「楽観主義」/ 西欧*4
- 「共産主義」「革命」/ 東欧・ロシア*4
- 「愛」「犠牲」「怒り」「憎しみ」/中東*4
- 「血」「死」/ アフリカの一部地域*4
- 「共産主義」「祝いごと」「幸運」/ 東アジア*4
- 「活発」/ 世界19か国*2
- 「平和」「穏やかさ」/ オーストラリア、ブラジル、カナダ、コロンビア、香港、台湾、アメリカ、中国*1
- 「危険性」「病気」「無法地帯」「混乱」/ マレーシア人の一部*5
- 「肥沃さ」/ エジプト*6
- 「安全性」/ アメリカ*6
- 「犯罪性」/ フランス*6
- 「花嫁のウェディングドレス」/ 西洋文化*6
- 「未亡人女性」/ インド*6
- 「喪服の色」/ その他のアジア文化*6
- 「平和」「穏やかさ」/ オーストラリア、ブラジル、カナダ、コロンビア、香港、台湾、アメリカ、中国*1
- 「高貴さ」/ 日本人、中国人、韓国人*3
- 「高価でない」/ アメリカ*3
- 黒・グレー:「消極的」/ 世界19か国*2
- 黒・茶:「悲しみ」「腐敗」/ 各国*1
- 「祝い事」「生命力」/ 日本*1
*1 出典:Madden, Thomas, Hewett, Kelly, and Roth, Martin S. 2000. “Managing images in different cultures: a cross-national study of color meanings and preferences,” Journal of International Marketing 8: 90-107.
*2 出典:Adams, Francis M., and Osgood, Charles E. 1973. “A cross-cultural study of the affective meanings of color,” Journal of Cross Cultural Psychology 4: 135-56.
*3 出典:Jacobs, Lawrence, Keown, Charles, Worthley, Reginald, and Ghymn, Kyung-Il 1991. “Cross-cultural colour comparisons: global marketers beware!” International Marketing Review 8: 21-30.
*4 出典:Edwards, Tom 2007. “The culture behind colors.” MultiLingual December: 27-9.
*5 出典:Ricks, David. R., Arpan, Jeffery S., and Fu, Marilyn Y. 1974. “Pitfalls in advertising overseas,” Journal of Advertising Research 14: 47-51.
*6 出典:Barber, Wendy, and Badre, Albert 1998. “Culturability: the merging of culture and usability,” paper presented at the 4th conference on “Human dactors and the web,” Barking Ridge, NJ, June 5; available at zing.ncsl.nist.gov/hfweb/att4/proceedings/barber (accessed April 5, 2009).
国別「最も好きな色」
- オーストラリア: 青、緑、白( ⇔ 紫、金)
- ブラジル: 白、青、緑( ⇔ 橙、金)
- カナダ: 黒、青、白( ⇔ 金、茶)
- コロンビア: 青、白、緑 ( ⇔ 橙、茶)
- 香港: 白、青、紫 ( ⇔ 橙、金)
- 台湾: 青、白、紫( ⇔ 赤、金)
- アメリカ: 青、緑、黒 ( ⇔ 橙、黄)
※ ()内:最も回答が少なかった色
総じて、最も好きな色として青、緑、白が多く挙がっています。
この3色は、これら7か国の調査で「平和と穏やかさ」を連想する色として認識されています。
出典:Madden, Thomas, Hewett, Kelly, and Roth, Martin S. 2000. “Managing images in different cultures: a cross-national study of color meanings and preferences,” Journal of International Marketing 8: 90-107.
【海外ユーザー向けサイトの配色 3つのチェックポイント】
それぞれの地域や国、文化により、色に対するイメージは様々です。
海外ユーザー向けサイトの配色においては、以下の3つのポイントを参考にチェックを行ってみてください。
ポイント1 適切に理解される配色になっているか
デザインの美しさは、配色を決定する大切な要素の1つですが、デザインのみを目的に配色を決定することは危険です。特に海外ユーザー向けサイトでは、コンテンツを「正しく」、「分かりやすく」伝えることが重要です。コンテンツを適切に理解してもらうための配色になっているかどうかを確認しましょう。
(例:白背景に黄色テキストは読みづらいので避ける等)
ポイント2 文脈に合っているか
誤った配色は、ユーザーを混乱させたり、不快感を与えたりしてしまう可能性さえあります。 海外ユーザー向けサイトでは、対象国のユーザーが持つ「色」に対するイメージや文化的背景を理解し、メッセージ、文脈が相互に調和する配色を目指しましょう。
(例:西洋では白は「ウェディングドレス」を連想させるが、インドでは「喪服の色」というイメージがあるため、インド国内のユーザーを主対象にした結婚関連のウェブサイトでは、白を多用するのは避ける等)
ポイント3 隠れた矛盾はないか
1、2を踏まえ、最終的に対象ユーザーにコンテンツを適切に理解してもらうための配色と、固有の「色」に対する文脈の間に、隠れた矛盾がないかどうかを、現地のユーザー視点で確認しましょう。具体的な対象国の想定ユーザーに対する現地調査をおすすめします。
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