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2016年5月30日

インバウンド大国フランスに学ぶ!フランスと日本の観光集客システムの違いとは?[第1回]

「インバウンド大国フランスに学ぶ!」では、観光大国フランスのインバウンド状況を様々な視点から、現地在住ライターが掘り下げていきます。今回のシリーズでは、観光集客システムのフランスと日本の違いをテーマに、全3回でお送りします。
まず第1回目では、フランスのインバウンドの概況、そしてフランス観光開発機構(Atout France、以下ATF)と日本政府観光局(以下、JNTO)のWEBサイトの多言語状況やコンテンツの事例をみていきましょう。

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フランスのインバウンド概況

フランスの観光客数は30年以上トップを誇る世界一の観光大国であり、フランス外務省の発表によると、2015年には8,450万人もの観光客数を記録し、フランスへの観光客の国籍別では、ドイツ、イギリス、ベルギーからがトップ3となっています。

 

また、世界観光開発機構(UNWTO)によるUNWTO Tourism Highlights 2015の海外からの観光客数ランキングではフランス8,370万人で堂々の1位、2位アメリカ、3位スペイン、4位中国、5位イタリア。日本はというと1,340万人で22位、2014年時点で比較するとフランスの約16%という結果になっています。(※2016年4月時点の訪日外国人は約2,082万人

 

フランスにおける外国人観光客の平均滞在日数は、7.2泊ですが、約50%の旅行者が1~3泊が多く、短期滞在が半数を占めています。フランスへの中国人観光客は、日本の3倍(暫定数)にあたり、中国人にとってフランス行きは不動の人気でデパートの免税コーナーも中国の劇場に迷い込んだのかと思うほど中国人で溢れかえっています。

 

観光大国フランス、その集客術のからくりとは?

それではどうしてこんなにフランスへの観光客が多いのでしょうか?その一つは、観光スポットが多い上に、場所が集中していることです。パリは直径約10kmの街なのでその中で動き回れるのは非常に便利です。そして、もう一つは観光客だけでなくビジネス出張者も含まれるということが挙げられます。イベントや見本市でビジネス出張者をもつかむというのが国の政策の一つにあります。その功績は数字にも出ており、ビジネス出張者の割合は何と約4割を占めます。それではフランスにはどのような見本市やイベントがあるのでしょうか。一番最初に思いつくのは「パリコレ」です。世界中のお金持ちやバイヤー、ジャーナリストが定期的に渡仏します。

フランス展示会の一例

フランスでの展示会の一例(写真はSalon du Chocolat展)

 

他ではカンヌ映画祭、モナコグランプリ、全仏オープンテニスも人気が高いし、見本市だと車、オブジェ、食関係はもちろんのこと、メガネ、建築などあらゆるジャンルの見本市がフランスには存在します。そういったビジネス関係者やリピーター客も大事な観光客でもあります。特にビジネス関係のパリ出張は一つのステータスでもあり楽しみでもあるかのように毎回出張を楽しみにしている人も多いし、ホテルやレストラン代、サンプル購入などは経費で落とせるので、お金を落としやすいカラクリになっているのも見逃せない点でしょう。

 

フランスのサイトはやっぱり世界一?日本は?

多言語対応数

日本政府観光局(JNTO)が13ヶ国語、フランス観光開発機構(ATF)は16ヶ国語で大差はないように思われますが、ATF側は、各国別でサイトがあり39カ国のサイトが存在します。例えば英語は、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、インド、東ヨーロッパ、フィンランド、中東、イスラエル、南アフリカ、その他の国(英語)と10種類ものページがあり、フランス語は5種類、ドイツ語は3種類、スペイン語は4種類、オランダ語は2種類と、中国語は3種類となっており、表記や言い回しも各国違います。全般的にヨーロッパ系の言語が充実しています。

 

これに対しJNTOのサイトは、中国語が3種類あり、英語は、イギリス、アメリカ、カナダ、シンガポール、マレーシア、オーストラリア/ニュージーランドの5種類にサイトが分かれています。他国語に対しては各1ヶ国語のみですが、アジア圏の言語は、タイ、インドネシア、ベトナム等があり、アラビア語はアラビア文字で書かれていますが、これらのアジア言語とアラビア語はフランス語サイトには現在のところありません。

 

各言語コンテンツの事例と特徴

ATFのサイトを見てみよう

それでは、どのように違うのか?と見てみると、例えばATFのイギリス版サイトは、グルメ、アウトドアー、ワイン、海岸、カルチャー、ゴルフ、リラクセーション、そして驚いたのがFeel Free(ヌーディスト!)などが最初のカテゴリーで出てきます。英語版の他のサイトはデザインが大きく異なり、アイコンを使用した整然としたカテゴリー分けが特徴です。

 

ATFのイギリス版サイト。英語版の他のサイトはデザインが大きく異なり、アイコンを使用した整然としたカテゴリー分けが特徴。

イギリス版サイト

 

一方、ATFのアメリカ版サイトは、サーフィンが最初に大きく出てきて、その次は印象派、カンヌ映画祭、ゲイ、パリ郊外(ヴェルサイユ)がきています。また、英語サイトの中ではFacebook, YouTube Twitterとの連携ページが充実しており、更新頻度も高いことも特徴です。(ちなみに、イギリス版のサイトではSNSのタイムラインページがトップには無かったことも興味深い点です。)

 

ATF USA

ATF US

アメリカ版サイト SNS のタイムラインが充実。

 

オーストラリア版はタヒチ島が地理的に近いからということもあってかトップのカルーセルに出ており、その次にフランスのワインやガストロノミーが見られます。

オーストラリア版サイト。全体的に、島や海など自然のイメージが目立つ。

 

このように国民別に分けたサイトで、より効果的な情報が得られる様な仕組みになっています。

確かにイギリス人がサーフィンに興味を持つかといえば疑問だし、アメリカ人が好む海となれば、タヒチよりカリブ海やフロリダ、メキシコの方が好まれるだろうから、なくてもいい情報かもしれないでしょう。

 

 JNTOのサイトも見てみよう

一方、JNTOのサイトはどうでしょうか。

例えば中国語(簡体字)のサイトはまるでYAHOO!のトップページのように天気、地図、電車案内、宿泊から旅行に関することがぎっしりトップページに掲載され、観光客にとって実用的な情報がWEBサイト上で入手できるようなコンテンツになっています。デザインは中国語のウェブサイトによく見られる、目を引く派手な色使いで、全体的に賑やかな印象です。

 

一方、英語サイトは大きなビジュアルをメインに持ってきており、その下4つのカテゴリー(「Plan to Go」「Itinerary」「Plan Your Trip」「Japan in Depth」)から必要な情報を検索できる仕組みになっています。シンプルながらも、情報が整理されているため、非常に使いやすい印象です。

 

また、中国語サイトの画面の幅715 X2140 (px) に対し、英語版では1200x6443 (px)となっていることも各国のWebデザインのトレンドを踏まえているように思います。

 

JNTO china

中国語(簡体字)サイト。小さな画像バナーが多く、ファーストビューでより多くの情報が入手できる。

JNTO us

英語版サイト。大きなアイキャッチ画像と情報整理されたデザインが特徴。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

JNTOの外国語サイトで連載中のJapan Monthly Web Magazineも、地方の観光スポットの写真を多用し、見ている読者が「行ってみたくなる」内容になっています。こちらは、中国簡体字・繁体字・韓国・英語・タイ語のみ展開しており、JNTOが発表している「国籍/月別 訪日外客数(2003年~2016年)」にある日本への観光客の国籍トップ5(1位中国、2位台湾、3位韓国、4位タイ、5位香港)にしっかり対応しているようです。

 

これから東京オリンピックに向けてどのように改良されるのでしょうか。乞うご期待ですね。

 

次回は、観光客にとって利便性あふれる工夫をテーマに、フランス現地のインバウンド施設の取組みを一緒にみていきましょう。

 

次回の記事はこちら:
インバウンド大国フランスに学ぶ! フランスと日本の観光集客システムの違いとは?[第2回]

http://kitemiru.com/inbound-tourism-lesson-from-france-promotion-2/

 

出典:

・La France a accueilli 84,5 millions de touristes étrangers en 2015. Le Figaro.

http://www.lefigaro.fr/conjoncture/2016/04/08/20002-20160408ARTFIG00278-la-france-a-accueilli-845-millions-de-touristes-etrangers-en-2015.php

 

・インバウンド大国フランスの実情. 一般財団法人 自治体国際化協会,

www.clair.or.jp/j/forum/c_mailmagazine/20150929/126-1.pdf (参照:2016-5-30)

 

・UNWTO Tourism Highlights, 2015 Edition. 世界観光開発機構(UNWTO),

http://www.e-unwto.org/doi/pdf/10.18111/9789284416899

 

・世界各国、地域への外国人訪問者数ランキング. 日本政府観光局 (JNTO),

http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_statistics.html (参照:2016-5-30)

 

・International tourism in France in 2014. Direction générale des entreprises,

http://www.entreprises.gouv.fr/files/files/directions_services/etudes-et-statistiques/stats-tourisme/chiffres-cles/2015-12-CC_Tourisme-8VOLETS-version_ANGLAISE.pdf (参照:2016-5-30)

 

・国籍/月別 訪日外客数(2003年~2016年). 日本政府観光局(JNTO),

http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_tourists.pdf

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