• インバウンド

2016年7月1日

インバウンド大国フランスに学ぶ! フランスと日本の観光集客システムの違いとは?[第2回]

「インバウンド大国フランスに学ぶ!」[第1回]では、観光大国フランスのインバウンド概況や多言語WEBサイト上の集客の工夫について、日本との比較を行いました。[第2回]では、フランス現地の観光スポットでは具体的にどのような外国人観光客対応に取り組んでいるのか、みていきたいと思います。

続きを読む

フランス現地のインバウンド施設の取組み

多言語対応

パリで観光客向けに使用されている言語は英語が主流ですが、その他の言語も様々な場所で使用されています。では、どのような施設で、どの言語が使用されているのか、以下の表でいくつか例を見てみましょう。

 

多言語対応表

◎:国営施設、★:民間施設

 

このように、観光客向けの多言語対応は充実しています。特に、ヨーロッパ言語は必須となっているようです。もう一つのポイントとしては、民間企業と比較し、国営の施設が積極的に多言語対応に取り組んでいることです。

 

その他観光客にとって便利なサービス

公共交通機関の事例

日本でも、東京メトロ線全線と都営地下鉄線全線が乗り放題の「Tokyo Subway Ticket」やJRグループの鉄道・バス・フェリーで利用できる「JAPAN RAIL PASS」(※一部の路線を除く)など、外国人観光客の方に便利で快適に旅行を楽しんでいただくためのサービスが出てきていますが、公共交通機関に関してはまだまだパリに一日の長があるようです。

 

パリの公共交通機関には、地下鉄、バス、郊外線、トラムがありますが、郊外線を含めて、日本のように私営が入り混じっていないので、何回も切符を買う必要がないのは観光客にとって本当に助かります。例えば、Paris Visite という3日券(Zone1-5)を買えば、3日間地下鉄、バス、郊外線、トラムが乗り放題。パリ市内はもちろん、郊外(ヴェルサイユ宮殿など)もこの切符一枚でカバーできるので、大変便利です。

 

宿泊施設の事例

宿泊施設は、星でランク付されており、星なし~5ッ星でホテルのレベルや値段が想定できるようになっています(これは、インターネットのない時代は非常に重要な指標でした)。パリでは、9月はオブジェ関係の展示会、パリコレ、その他展示会が重なるため、主要駅周辺や条件のいいホテルは数ヶ月前から予約でいっぱいになりますが、少し離れた場所などは空いているので全部が埋まるということはないものの、ビジネスで離れた場所のホテルほど仕事に差し支えて辛いものはないので、慣れている人は数ヶ月前から予約する人がほとんどです。キャンセルも2日前までは通常はキャンセル料がかからないので、気楽に予約ができるのも利点です。

 

観光客向けホテルは、フランス全体で約18,100軒あります。その他ではアパートメントホテルもあり、2~3日以上滞在する旅行客に人気です。リピーターに人気なのがアパートメントホテルで、「暮らすようなパリ」が体験できます。また、ホームステイ形式の『シャンブルドット(chambre d’hôte)』は、パリだけでも331軒あり、ヨーロッパ人観光客に人気です。

 

日本でも何かと話題の民泊については、そのユニークな宿泊形態とリーズナブルな価格帯から、フランスでもAirbnb(エアビーアンドビー)が普及しています。「かなり高い粗利が期待できる」(仏ホテル職業産業連合(UMIH))ことから、とりわけパリでの事業目的での運用物件が急増し、滞在費の高騰やホテルの倒産などの問題が発生しています。また、安全面の確保や脱税の取り締まりなど、今後整備すべき課題も多く指摘されていますが、旅行者にとっては魅力的な選択肢のひとつになっています。

 

美術館の事例

パリの有名美術館ではチケットをオンライン上で事前購入できるので、その分待ち時間が短縮されるようになっています。ルーブル美術館では多国語対応だけでなく任天堂の高画質のオーディオガイドが利用できるサービスも始めました。レンタルもしくは手持ちのスマートフォンでダウンロード(有料)出来るサービスです。

 

また、18歳未満は入場料無料で、フランスの教育方針として、幼いうちから本物の美術に触れるということは大事という考えに基づいています。もちろん、18歳未満の外国人の方も無料です。

 

インバウンド施設のとっておき集客術?「国別接客マニュアル」

「国別接客マニュアル」とは?

DoyouspeakTouriste

国別接客マニュアル (PDF版)

実は、フランスには、観光客をより理解するために作成された「国別接客マニュアル(『Do you speak Touriste?』)」が存在します。

 

パリでは観光客の42%が外国人。もともと、「パリの接客サービスは雑」といった海外の観光客から不評を受け、パリの観光局と商工会議所が作成したものです。「どの国の観光客がどのようなサービスを期待しているのか」、「どのような慣習を持った人達なのか」などを理解し、文化背景に即した友好的な接客サービスを提供することを目的として、作成されました。

 

 

 

このマニュアルでは16か国(イギリス・イタリア・スペイン・ドイツ・ベルギー・スイス・オランダ・アメリカ・オーストラリア・日本・ブラジル・カナダ・中国・ロシア・インド・韓国)の国民性、習慣、彼らが期待することをまとめてあります。フランス人が抱くそれぞれの国に対するイメージや特徴が伺え、大変興味深いです。いくつか、記載例をご紹介します。

 

 

中国

  • 伝統的、もしくは有名な場所を観光する(凱旋門、エッフェル塔、ルーブル美術館等)
  • ワインやアルコール類をとてもありがたがる
  • パリでは、必ずショッピングをし、比較的高価なブランドを好む
  • (ショッピングでは)まがい物でないもの、カラフルなものを探す
  • 空港では、高級ブランドのセール品を探す
  • インターネットでの翻訳機能、GPS機能などを駆使して、旅行計画を立てる
  • 不足している情報を補う情報源となり得るので、ソーシャル・ネットワークの発達は(中国人によって)評価されている   など

 

韓国

  • 中国人や日本人と間違えられることを嫌う
  • SNSで情報を共有するのが好き
  • 可能である限り、チケットはインターネット予約で購入したい
  • インターネット無料接続の有無が、旅先での重要な基準の一つとなっている
  • ただ乗り(電車など)する人を見ると、ショックを受ける
  • 清潔さと快適さを、とても気にする
  • レストランやホテルで、より良いサービスを期待している   など

 

日本

  • 決してすぐには気に入らないが、リピーターとなる
  • 美食に対しありがたみを感じ、試食も喜んでする
  • レストランでは眺めのよい席を好む
  • テクノロジーに強い、旅行の予約もインターネット上で行う
  • タクシーは日本より非常に高いと思っており、日本のタクシーと比較する
  • パリにショッピング目的で来たわけではないものの、それでもショッピングはする
  • パリの物価は高いと思っている
  • サービスに関して、日本人が求めていることに対し常に応えられているということはない   など

 

いかがでしょうか?フランス人が、それぞれの国に対して抱くイメージが垣間見えますね。

 

国別接客マニュアルを取り入れている商業施設の事例・効果

2013年に、パリに来た外国人観光客に満足してもらう目的で、パリ(郊外を含む)にある商業施設に対して、『Do We Speak Touriste?』が2万部配布されました。2015年7月に、パリ観光局が発表したプレスリリースによると、世界各国からの外国人観光客の満足度は94%という結果が出ています。しかしながら、日本人58%、中国54% 韓国44%と満足度が高くないため、これからは、彼らへの接客サービスを改善することが課題の一つとなっています。

サイト内には、『Yes I speak touriste!』(9か国語)というアプリがダウンロードできるサービスもスタートしました。フランス語がネイティブでない観光客向けとなっており、スマホを使って地図を見ながら便利な情報を得ることができます。

こちらはパリだけでなく、空港、ギャラリーラファイエット(デパート)、ヴェルサイユ、ディズニーランド・パリもサービスエリアに含まれます。また、外国人観光客に接客するための商業別(ホテル、レストラン、ショップ、タクシー)音声ガイドで外国語をトレーニングできるというページもあり、積極的に多言語対応を勧めています。

 

まとめ

フランス現地では、国営施設が中心となって多言語対策を進めている印象です。一方で、接客サービスという点ではまだ課題が多いと認識しており、海外からの旅行者が世界1位というその座に慢心することなく、観光客への理解と満足度の高いサービスの改善に積極的に取り組んでいるようです。

さて、最終回の次回では、フランスが国を挙げて観光産業に力を入れる背景を、経済的・社会的な視点から見ていきたいと思います。

 

次回の記事はこちら:
インバウンド大国フランスに学ぶ! フランスと日本の観光集客システムの違いとは?[第3回]

 

出典:

・Making Tourists Feel Right at Home in Paris Region Announcing the “Yes I Speak Tourist” Application Making Tourists Feel 100% Welcome”. CCI PARIS ILE -DE-FRANCE Paris Region Tourist Board(パリ観光局).

・民泊の不都合な真実。フランス宿泊業界関係者が緊急来日で悲痛な訴え. HARBOR BUSINESS Online,

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160523-00095025-hbolz-soci (2016-7-1)

・旅行者限定で東京メトロ線全線と都営地下鉄線全線がお得に乗り放題!「Tokyo Subway Ticket」を新たに発売します!.

東京都庁,

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2014/03/20o3o200.htm (2016-7-1)

・JAPAN RAIL PASSとは?. JRグループ,

http://www.japanrailpass.net/about_jrp.html (2016-7-1)

 

記事をたたむ

  • 最新記事
  • あなたにおすすめの記事
人気のある記事 について
グローバルサイトや多言語サイトの 運用に役立つ情報を配信しています。 大勢の外国人観光客が日本に 「来て見る」ヒントを創るメディア サイトを目指します。

キテミルの更新情報を、あなたのメールアドレスにお届けします。

Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.